奄美大島世界遺産センター
鹿児島県奄美市 2022年
生きものと出会う感動を通して、
価値を伝え共感を育む。

奄美大島は、2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島」が世界自然遺産に登録されました。世界自然遺産に関する情報発信や自然環境の保全に関する普及啓発等を行う拠点を新設するプロジェクトです。
展示では奄美大島の森を再現。貴重な生きものに出会う感動の体験が遺産価値の理解や未来に継承する大切さの共感につなげることを重視しました。

物件名:奄美大島世界遺産センター
事業主:環境省
場所:鹿児島県奄美市
完成:2022年
用途:世界遺産センター
構造:木造地上1階建(新築)
面積:610.63㎡
撮影:神宮巨樹

建物は奄美の森を切り取り内包させた空間を置いたようなイメージとなるようにシンプルな形態とし、外装は周囲の山並みと調和したデザインとしました。奄美の森らしさを表現したロゴマーク、エントランスのファサードに映り込む山並み景観、展示への期待感、物販の賑わいが来館者を出迎えます。

エントランスは明るく広がりのある空間として、来館者に様々な奄美大島らしさ(世界遺産の価値、間近にある風景、島の人や文化の魅力、隣接する道の駅施設)とのつながりの機会を提供する接点として計画しました。

展示スペースの入口は、なぜ奄美大島にはここにしかいない生きものが数多く生息・生育しているのか、その要因である島の成り立ちを画家・絵本作家のミロコマチコさんに描いていただきました。絵本的空間表現により、悠久の時に想いをはせてもらう導入部としました。

展示スペースは、奄美の森の特徴である生きものの賑わい、濃密さを具現化するために、造形・映像・音・光を使って空間を表現し、シンプルな制御で時間を表現しました。それぞれのコンテンツの解像度を上げることで、没入感を高めることができました。
また、森の中で貴重な生きものを観察するための什器を配置して、体験性をより得ることのできる仕掛けを計画しました。