あたり前の暮らしサポートセンター
長野県佐久市 2016年
昔ながらの良き暮らしを
次の世代に伝える。

長野県佐久市の西側に位置する旧望月町は、標高2,531mの蓼科山の裾野の谷戸筋に集落が散在している町。そこで福祉事業を担っている社会福祉法人様が今回の事業主です。
高齢になっても、認知症になっても、障害があっても、住み慣れた地域・自宅で暮らし続けることを支えるための新しい拠点をつくりたい。
その思いを受け、お年寄りが日常の暮らしをお互いに支え合い、改めて地域の中での役割を担うことのできる場所づくりを計画しました。

物件名:あたり前の暮らしサポートセンター
事業主:社会福祉法人望月悠玄福祉会
場所:長野県佐久市
完成:2016年
用途:デイサービス、ショートステイ、
交流ホール、介護保健相談所、
コミュニティカフェ
構造:木造地上1、2階建(新築)
面積:1,098.37㎡
監修:ケア・プロデュースRX組
撮影:Nacasa & Partners(中道 淳)

建物は地域に調和するように大きいお屋敷のような大きさ・デザインとしました。中庭を囲んだ分散配置により、通りかかる人が立ち寄りやすい雰囲気づくり、日常の活動がありありと中庭に表れ、協働する機会をつくりやすい距離感・状況づくりを設計しました。

お年寄りの役は暮らしのマイスター(達人)。地域に根付いた暮らしの知恵を若い職員さんや地域の方に日常・季節ごとにやることを通して協働して伝えることで、気力が高まり実際の生活に即した生活リハビリにつなげる計画としました。
例えば、キッチンまわりでは、食事するテーブルから程よい距離感の所にアイランドキッチンを設置。車椅子でも使うことのできる寸法、見守りやすい状況が整えば、食事づくりに参加できる機会を増やすことができました。合わせて、すぐ近くに職員さんが調理する厨房機器を配置しておくことで連携が取れることも計画しています。

道路沿いにコミュニティカフェを配置。育児に奮闘している子育てママ、認知症を患う家族を支える介護者、ひとり暮らしの高齢者、地域の誰もが気軽に立ち寄ってもらえることを考えました。障がいを持つスタッフが働けるような厨房計画、普通のカフェのような明るい雰囲気のインテリアとしました。

敷地の奥に交流ホールを配置。介護予防のための健康教室や各種教室など地域の方が集える場所をつくりました。
中庭を通って敷地の奥まで行く動線により、施設に来ることに気兼ねない気持ちを持ってもらい、機会があれば活動に参加されるような状況が生まれることを期待して計画しました。
屋根は地域材であるカラマツの集成材トラス組の寄せ棟で、いきいきした雰囲気を創出しました。